それはきっと、君に恋をする奇跡。


きっとすごく苦しいのに。

ねえ、どうしてそんなに穏やかでいられるの……?


あたしが苦しくなる。



「……ひ、な……」



再びハルくんの視線があたしに移って。



「……んっ?なにっ……?」



細くなっていくハルくんの声を聞くために、耳をもっと近づける。



「…………わら……って……」



……え?



「……ひなのっ……笑ってる……かおっ……さいごにっ……」


「うっ……」



そんなの、無理だよっ……


最後だなんて言わないで。


余計に涙が……。



「…………笑え」



蒼の声だった。



「笑えっっっ……!!!」



涙声で叫ぶ蒼。



……っ。



きっと苦しくて仕方ないのに。


こんなにも一生懸命声を振り絞って届けてくれたハルくんの"最後の望み"。



……あたしは叶えたい。

叶えなきゃいけないの。


これは、あたしが待ち望んでいたハルくんとの"再会"


ハルくんとの再会は、笑顔に満ち溢れていたはず。

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