それはきっと、君に恋をする奇跡。
***
「突然お邪魔しちゃってごめんね」
「いえ……」
今日、菜々さんが家に訪ねてきた。
もう初七日が終わったのだと教えてくれて、ハルくんが亡くなって1週間が過ぎていたことを知る。
「遥輝の葬儀に来てくれてどうもありがとう。バタバタしていて、ちゃんと挨拶も出来ずにごめんなさい」
「そんなっ、とんでもないです」
一日中部屋着でいるし、髪もボサボサ。
突然の来客に、あたしは慌てて着替えて髪は手くしで整えた。
そんな取り繕いは菜々さんにはすぐ見抜かれてしまって。
「陽菜ちゃんも、やっぱりまだダメよね」
そう言って、悲しそうな笑みを浮かべた。
「え……?」
……も……って。
あ、そうか。
蒼のことか……。
ハルくんを亡くした悲しみと同時に、蒼のことを思うと苦しさが増した。
「遥輝、ほんとうに陽菜ちゃんのことが好きだったのね……」
改めて菜々さんからハルくんの気持ちを聞かされて、あたしは口元に小さく笑みを作る。
「あの日、陽菜ちゃんたちが来てくれる前に危篤になって、意識があるうちに……って、私達家族は先にお別れをしたの……」
「そう……だったんですか……」