それはきっと、君に恋をする奇跡。
***
「んーー……、今日もいい天気になりそう」
ここ数日、あたしは学校へ来るとまず屋上に足を運んでいた。
今日はまた一段と澄んだ空気がとても綺麗で、両手を広げて深呼吸した。
目の前には、大学病院が見える。
……こんなにも、あたしはハルくんの近くにいたんだね。
でももう、そこにハルくんはいない。
代わりに空を見上げる。
「おはよう、ハルくん」
きっとハルくんは、空のどこかで見てくれているはずだから。
───ギィィ。
背後で鉄の扉が開く音がした。
朝から屋上に来る人なんていないのに、誰……?
そう思いながら音に引き寄せられるように首を振ると。
「……蒼?」
「……おっす!」
数日前に見た姿とは違い、髪の毛もしっかりセットされていて、制服は少し着崩してはいるけれど、シャンと背筋を伸ばして。
耳には、今は形見となったハルくんからもらったピアス。
……蒼だ。
蒼が、戻ってきた。