それはきっと、君に恋をする奇跡。


蒼はもう大丈夫。

そう確信する。



「そうだ、これ」



あたしがいつもお弁当を食べていた特等席に蒼が腰掛けながら、何かを差し出した。



「なあに?それ」



手には紙袋。

中からは出てきたのは。



「……プリン?」


「そ。これな、病院の売店で火曜日にだけ販売される特別なプリンなんだ。近くの養鶏所のなんとかって鶏の卵で作られた貴重な幻のプリンなんだぞ」



はいっ、とひとつ手渡される。


"なんとか"って鶏って………。


で、なんで、プリン?



「……遥輝と一緒に、これをよく食べたんだ」



自分の分も袋から取り出して、懐かしそうに目を細める蒼。


……これを、ハルくんと……?



手の中にあるプリンを、思わずギュッと握った。



「だからさ、」



紙袋の中からは、もうひとつプリンが。



「遥輝の分も買ってきた」



ニッと笑って、自分の隣に置く。
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