それはきっと、君に恋をする奇跡。


「……っ、……」



ハルくんっ……。



いつの間に。

こんなメールを作っていたの……?



想いの詰まったハルくんからの最期の言葉に、涙が溢れてとまらない。




"最後に陽菜に会えたかな"



……会えたよ……。

蒼がちゃんと、連れて行ってくれたよ……。


あたしの笑った顔も……ちゃんとハルくんの瞳には映っていたよ……。



「…………っ……うっ……ひっく……」



涙は止まらない。


ハルくんを思い出して涙するのは、もうやめにするって決めていたのに。



"陽菜のことが大好きでした"



ハルくんの想いに、涙が止まらないよ───







……そうだ。



あたしは弾かれたように、便箋を取り出した。


去年の4月7日に届いた手紙を最後に、あたしは返信していなかった。



"今度の手紙で聞かせて下さい"



そう言われていたのに、あたしはそのまま連絡を絶ってしまった。


再会したら伝えたかったことを、そのままにしていた。


……今思えば悔やまれるけど。



あの日、病室でも告げられなかったあたしの想いを……。




約1年ぶりに取り出したレターセットの束。


ハルくんと文通をするために、可愛いレターセットを沢山用意していた。


まだ新品のレターセットが山ほどある。


そのひとつを開けて。



今のあたしの想いを乗せた───

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