それはきっと、君に恋をする奇跡。


手紙を持ってハルくんの家へ向かうと。


菜々さんが出迎えてくれた。


「来ると思ったわ」

そう、優しく微笑んで。



メールを送ってくれたのは、菜々さんだった。



「本当は、文字で伝えたかったみたいだけどどうしてもペンが握れなくてね。メールを打つのも大変そうだったけど、たくさん時間を掛けながら、遥輝は一生懸命打ってた」



その時のことを思いだしたのか、菜々さんはうっすら涙を浮かべた。



「ありがとうございましたっ……。だから、あたしもハルくんにお返事を書いて来たんです」



明るい笑顔のハルくんの遺影の前に、封筒をそっと置いた。



「天国で、読んでくれてたら嬉しいです」



そっと手を合わせる。


ハルくん。

ハルくんの想いはちゃんと受け取ったよ。


だから……天国で見守っていてね……。




「実はね、もしかしたらこのメールは送られていなかったかもしれないの」



目を開けたあたしに、菜々さんが。

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