それはきっと、君に恋をする奇跡。
「それ、どういうことですか?」
「遥輝に頼まれたの。もし……自分が亡くなって、春になっても陽菜ちゃんと蒼くんが、恋人同士になっていなかったら、そのときは送信ボタンを押してほしいって」
「……っ……」
あたしと、蒼が……?
どうして?
……あ、メールにも書いてあった。
"陽菜には今、すごく大切な人がいるはず"
「遥輝はきっと分かってたのね。蒼くんが陽菜ちゃんに出逢えば、陽菜ちゃんが蒼くんに出逢えば……お互いを好きになるだろうって」
「えっ……」
……ハルくんは、それを伝えるために……
大変な思いをして、言葉を届けてくれたの……?
「遥輝が作ったメールは、もう一通あるの」
菜々さんが、手に持ったスマホを愛おしそうに眺める。
「もう……一通?」
「うん。陽菜ちゃんと同じ時間に、もう一つの宛先に送信済みよ」
……もしかして。