それはきっと、君に恋をする奇跡。


「それ、どういうことですか?」


「遥輝に頼まれたの。もし……自分が亡くなって、春になっても陽菜ちゃんと蒼くんが、恋人同士になっていなかったら、そのときは送信ボタンを押してほしいって」


「……っ……」



あたしと、蒼が……?

どうして?


……あ、メールにも書いてあった。


"陽菜には今、すごく大切な人がいるはず"



「遥輝はきっと分かってたのね。蒼くんが陽菜ちゃんに出逢えば、陽菜ちゃんが蒼くんに出逢えば……お互いを好きになるだろうって」


「えっ……」



……ハルくんは、それを伝えるために……

大変な思いをして、言葉を届けてくれたの……?



「遥輝が作ったメールは、もう一通あるの」



菜々さんが、手に持ったスマホを愛おしそうに眺める。



「もう……一通?」


「うん。陽菜ちゃんと同じ時間に、もう一つの宛先に送信済みよ」



……もしかして。

< 385 / 392 >

この作品をシェア

pagetop