それはきっと、君に恋をする奇跡。



「それは……蒼……ですか?」


「ええ、そうよ」



菜々さんは微笑む。



ハルくんは、蒼にどんなメッセージを……?



「蒼くんは、月命日にはお墓参りに行ってくれているみたいね」


「はい」



蒼はこの日だけはひとりで行きたいと、あたしを誘ってくれることはなかった。



……今日は……6日。


ハルくんの月命日。


そして───



「すみませんっ、このお花っ、お墓の方に供えて来てもいいですか?」



あたしが弾かれたように持ってきたお花を手に取ると、菜々さんはそんなあたしをクスッと笑って見て「もちろん」と言ってくれた。


丁寧にお礼を言って、ハルくんの家を出る。



走って向かうのはハルくんのお墓。



「はあっ……はあっ……」



ここから少し高台に上った、見晴らしのいい場所にハルくんは眠っている。
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