それはきっと、君に恋をする奇跡。


でも、ハルくんのメッセージが背中を押してくれたの。


伝えられなかった言葉の続きを。


いま、この場所で伝えたい。



ハルくんの前で言うこと、許してくれるよね……?

ハルくんも、一緒に聞いててね……。


蒼の正面に立ち、ゆっくり口を開く。



「あたし……蒼のことが、好き」



真っすぐ蒼の顔を見て言うつもりだったのに。


いざとなったら下を向いてしまった。



……怖かったの。


あたしはハルくんが好きだった。


そんなあたしが……。



しばらくの沈黙のあと。



「遥輝……」



なぜか蒼がハルくんの名前を呼ぶ。


不思議に思って恐る恐る顔をあげると、蒼はあたしじゃなく墓石の方を見ていた。



「もうお前のためじゃなく、俺のために言わせてもらうからな」



そしていきなりあたしに向き直るから、ビクッとしてしまう。


あたしを捉える蒼の瞳が、真剣なものに変わる。


ドキッーー


胸が鳴った瞬間。



「陽菜、好きだ」


「……」


「ずっと、好きだった」



春の風に乗って、優しい言葉が紡がれた。

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