それはきっと、君に恋をする奇跡。
……水瀬くんだ。
入学式の日に一番にクラスに溶け込んだ彼は、いまではクラスメイトたちから"蒼"と呼ばれている。
あの明るさは天性のものなのか、すぐにクラスの人気者になって彼の周りはいつも人と笑顔で溢れてた。
あのルックスだし女子にもすごく人気があるみたい。
ウワサによれば、すでに告白されまくってるって話。
「フフフ~ン♪」
なんのアピールなのか鼻歌を続ける水瀬くん。
そうやって、ずっと後ろからついてくる。
……バカの一つ覚えみたいに、いつもあたしの前でこの鼻歌を歌うんだ。
恥ずかしかったあの時を思い出すからやめてほしいのに。
───カキーン
そのとき、再び快音が響き渡り。
「ナイスバッティング!」
部員達の声でグラウンドが一斉に湧いて。
「……っ、」
思わず耳を塞ぐ。