それはきっと、君に恋をする奇跡。
「ありが、とうっ……すごく、似合ってるっ……」
想像していた以上に似合ってるよ……。
「俺の方こそありがとう。つけるの遅くなってごめんな?」
「……っ……ひっ……っく……」
うれしくて
うれしくて
泣くつもりなんかなかったのに、我慢できずに涙が溢れてしまうと。
蒼の手が……
あたしの頬に伸びて来て、
涙をそっと指で拭ってくれた。
その指が……あたしの手を取って。
そのまま蒼の胸へと引き寄せられた。
蒼の腕があたしの背中に回る。
……少し早い蒼の鼓動が、あたしに伝わる……。
「これからは、俺のために陽菜を笑顔にする」
蒼の想いが溢れて。
「だから、俺のために笑ってくれ」
こんなにも蒼を好きだと思う。
「……うんっ……」
ハルくんが起こしてくれた春の奇跡は、いまここで、カタチとなった。