それはきっと、君に恋をする奇跡。
ふたりでしゃがんでハルくんに手を合わせる。
「遥輝、誕生日おめでとう」
「ハルくん、おめでとう」
今日は月命日だけど、ハルくんの誕生日でもあるんだ。
4月6日。
ハルくんが生まれた大切な日ーー。
「あ!遥輝だけは、誕生日のイメージ裏切らないな」
「そうだね、"ハル"ってついてて春生まれだもんねっ!」
ふたりで笑って立ち上がり、墓石の前で並んでまた手を繋ぐ。
「遥輝が生きられなかったぶん、俺たちが一生懸命生きて行こうな」
「うん」
あたし達の人生だけど。
"ハルくんのために"
あたし達の根底にあるものは変わらない。
ハルくんがいて、あたし達は出会えた。
ハルくんが、蒼に出会わせてくれた。
それは、蒼に恋をする始まりだったのかもしれない。
想いが通じ合う、奇跡の始まりだったのかもしれないね……。
「遥輝に誓うよ……。絶対に陽菜を守ってく。お前に誇れるくらい、陽菜を精いっぱい愛するから」
ハルくんが繋いでくれたこの奇跡。
この出会いを。
ずっと大切にしていくから。
必ず、幸せになるから。
笑顔でいるから。
「ずっとずっと、見守っていてね」
あたしの問いかけに、ハルくんが答えるかのように。
柔らかな、風が吹いたーー。