それはきっと、君に恋をする奇跡。


水瀬くんは教室でもいつも隣の席からちょっかいを出してくる。


ハルくんのことで、静かに心を整理したいあたしの周辺をざわつかせるの。


無視してるんだから、いい加減あきらめてくれたらいいのに。



「陽菜、なんかあったの?明るい陽菜、入学式の朝以来見てないんだけど?」



水瀬くんは首を傾げた。



許可した覚えはないのに、水瀬くんはあたしを"陽菜"って呼ぶ。


あたしだけじゃなくて、クラスの女子全員を名前で呼んでるんだけどね。


ちなみに真由ちゃんのことは"真由ちん"



……ほんと軽くてチャライ人……。



「……明るい水瀬くんの隣が、暗いあたしでごめんなさい」



皮肉まじりにそう言って通り過ぎようとすると、



「暗くないだろ。人目も気にしないで、鼻歌歌いながらくるくる回ってたやつが」



体を入れられ、また進路を塞がれた。
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