それはきっと、君に恋をする奇跡。
……笑えないけど。
笑っちゃうくらい夢みたいな約束なんだもん。
どう考えたって、桜園高校が甲子園になんて行けっこないんだし。
「そう……?遥輝くんらしい夢があるすてきな約束だと思うけどな」
やめてよ、真由ちゃん。
フォローが痛すぎる。
あんまり言われると、みじめになってくるよ……。
「もういいの。ハルくんは大阪で野球を頑張って甲子園に行ったらいいよ。あたしにはもう関係ないもんっ」
「……とにかくさ、なにか部活は入った方がいいよ?」
そう言うと、真由ちゃんは自分の入部届をあたしの手に握らせた。
……捨てちゃったのが分かったのかな。
その場でそれを丸めることも出来ず、自分の席に持って戻ると。
「お?入部届?陽菜は何部に入るの?」
……水瀬くんまで。
その話、禁句なんだけどな。
友達としゃべっていればいいのに、目ざとい彼はあたしの手にある入部届に目を落とした。