それはきっと、君に恋をする奇跡。
「……」
「無視すんなよー」
ブレザーまで引っ張ってくるから、とりあえず返事だけする。
「……まだ決めてない」
「じゃ、決まったら教えてくれよなー」
「……なんで言わなきゃいけないの?」
「陽菜と同じ部活に入ろうと思って」
「……え?どうして?」
「おい蒼っ、もしかして新田さんのこと好きなのかっ!?」
突拍子もない返事に反応したのは、水瀬くんと喋っていた結城(ユウキ)くん。
ちょっ……!?
なにを言いだすの、結城くんっ!
水瀬くんの発言に驚いてるところへ、更にとんでもないことを言われビックリする。
結城くんは、水瀬くんとよく行動を共にしている明るい男の子。
ヨーロッパ系のハーフらしく、日本人離れしたその容姿は"ザ・王子様"そのもので、水瀬くんと並んで"ツートップ"なんて呼ばれてる。
「え~、そんなことないでしょ~」
ほらあ。
水瀬くんを取り囲んでいる女の子たちが面白くなさそうに一斉に頬を膨らませた。