それはきっと、君に恋をする奇跡。
「新田さんて小動物系だし、なーんか守ってあげたくなっちゃうんだよねー」
さらに結城くんが、甘い言葉を口にしたとき。
ーーーパシャ。
どこからかシャッター音が聞こえて。
音のした方に顔を振れば、水瀬くんのスマホがあたしに向けられていた。
……へ?
いま、あたしを撮った……?
「へへっ。陽菜の照れた顔ゲット!」
「や、やめてよっ……!」
勝手になにしてるの!?
満足げに画面を眺めている水瀬くんに、消してもらおうと手をのばせば。
「えー、新田さんだけずるーい。あたしも撮ってよ~」
「私も私も~今メイク直すからっ!」
「蒼!ツーショット撮ろう♪」
あたしを押し退けるように女の子たちがワッと入り込む。
わわわっ……っ!!
なんなのこれ……。
……文句と削除のお願いはあとにしよう。
こんな中に参戦したくないよ。
あたしはいつものようにまた机に突っ伏した。