それはきっと、君に恋をする奇跡。

笑顔



入学してから3週間がたった。


慣れっていうのは恐ろしいもので、うるさいと思っていた隣にも何も感じなくなっていた。



「あーだりー、次古典かよー」


「寝るで決定だな」



学校生活では当たり前となったBGM。


水瀬くんの周りをいつも取り囲むのは、クラスでも目立つグループの人たち。


男子はいわゆるモテる系の人で、女子も相変わらず派手目の子たち。


あたしとはタイプが違うし、すこし苦手。


今日も男女入り混じり合う声を、机に突っ伏しながら耳に入れる。



「蒼のピアスってキレイだよねー」


「うんうん、あたしも思ってた。いつピアスの穴開けたの?」


「中2の冬」


「へー、俺も開けよっかなー」


「あたしは夏休みまで待てって親に言われちゃった」



この時間の会話は、水瀬くんの左耳に光るピアスについて。


高校生になりたてということもあり、まだピアスをしてる子は少ない。


水瀬くんのピアスをみんな羨ましがっているみたいだった。
< 52 / 392 >

この作品をシェア

pagetop