それはきっと、君に恋をする奇跡。
笑顔
入学してから3週間がたった。
慣れっていうのは恐ろしいもので、うるさいと思っていた隣にも何も感じなくなっていた。
「あーだりー、次古典かよー」
「寝るで決定だな」
学校生活では当たり前となったBGM。
水瀬くんの周りをいつも取り囲むのは、クラスでも目立つグループの人たち。
男子はいわゆるモテる系の人で、女子も相変わらず派手目の子たち。
あたしとはタイプが違うし、すこし苦手。
今日も男女入り混じり合う声を、机に突っ伏しながら耳に入れる。
「蒼のピアスってキレイだよねー」
「うんうん、あたしも思ってた。いつピアスの穴開けたの?」
「中2の冬」
「へー、俺も開けよっかなー」
「あたしは夏休みまで待てって親に言われちゃった」
この時間の会話は、水瀬くんの左耳に光るピアスについて。
高校生になりたてということもあり、まだピアスをしてる子は少ない。
水瀬くんのピアスをみんな羨ましがっているみたいだった。