それはきっと、君に恋をする奇跡。


***


「陽菜ゴメンっ」



昼休み。


真由ちゃんがおもむろに謝って来た。



「え、どうしたの?」



すごく申し訳なさそうに顔の前で両手まで合わせるから何かと思ったら。



「バスケ部の先輩に、一緒にお昼食べようってLINEで誘われて……」



いつもハキハキしている真由ちゃんが、もじもじしている。


これは……。



「それってもしかして、久保(クボ)先輩?」


「……っ、わかる……?」



ある先輩の名前を出すと、真由ちゃんの顔にポッと赤みが差した。



「わかるよー」



バスケ部に入った真由ちゃん。


それ以来、久保先輩という2年生の名前が真由ちゃんからちょこちょこ出て来るようになっていた。


男バスと女バスは交流があるらしく、もう仲良い先輩が出来たんだーなんて羨ましく話を聞いていたんだけど。
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