それはきっと、君に恋をする奇跡。


会話もなく、ひとりで食べるお弁当タイムはあっという間に終了。


なんだか味気なかったな。


ひとりで食べるのはやっぱり淋しいや……。



スマホを見るとまだまだ時間は余っている。


教室に戻っても、あたしの席は例の軍団に占領されてるんだろうなあ。


水瀬くんたち男子は学食でお昼を食べているみたいだけど、終わるとすぐに教室に帰ってくる。


そう考えると、戻る気にはなれなかった。



「うう~ん」



伸びをして、誰もいないのをいいことにその場にゴロリと寝転んでみる。


目の前に広がる空にはたくさんの白い雲。


右から左へとゆっくり風に流されていた。



「気持ちいいー」



こうしてると、時間までゆっくりと流れていくみたい。

こんな風にゆったりした気持ちになるのは、入学してから初めてかも……。



真っ青な空に浮かぶ白い雲。


夏を象徴するようなそんな空が、大好きだった。
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