それはきっと、君に恋をする奇跡。



『はるきくんち、犬飼ったんだって?』



それは朝の会がはじまる前の、ザワザワした教室でのこと。



『えーーーーいいなあーーーー!』



とある一角に、女の子がワッと群がった。


中心にいるのはハルくん。


授業中もたくさん発言するし、2年連続運動会のリレーの選手だったから存在感は抜群。


ハルくんとは一回席が隣になったけど、そこまで話すって感じにもならなくて。


去年も同じクラスだった男の子……くらいの印象しかなかった。



『真っ白でふわふわしてて可愛いんだあ』


『見に行ってもいい?』


『わたしもわたしも!』



あたしはランドセルの中身を机にしまいながら、そんな会話を遠巻きに耳にしていた。



いいなあ……犬か。


可愛いんだろうなぁ。


あたしも犬は大好きだけど、お母さんが動物の毛のアレルギーだから家では飼えない。
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