それはきっと、君に恋をする奇跡。
「え?あたしも並ぶよ?」
「いいからいいから」
そう言うと、水瀬くんはひとりで長蛇の列の最後尾に走って行ってしまった。
え。
あたしを並ばせないっていう気遣いはうれしいけど……。
食べたいクレープを伝えてもないし聞かれもしなかった。
……プランだけじゃなくて、メニューまで水瀬くんのチョイスってこと?
せっかくなんだから、クレープ選びたかったな。
そう思いながら待つこと約10分。
「お待たせー」
水瀬くんが両手にクレープを持って戻ってくる。
「はい。いちご生クリームストロベリーショートケーキ乗せ!」
そして、満面の笑みで右手に持ったクレープを差し出した。
「えっ!?え、ええっ!?」
あたしは目を丸くした。
だって、これこそあたしが食べたかったクレープだから。