それはきっと、君に恋をする奇跡。
「あれ?これじゃない方がいい?一応こっちもあるよ」
水瀬くんの左手にはもうひとつのクレープ。
チョコレートケーキが乗っていて、これもおいしそうだけど。
「こっち、もらいます……」
最初に差し出された方のクレープを受けとった。
「いただきます」
まず、ショートケーキをスプーンですくう。
「……おいしい」
口いっぱいに広がる甘味に、顔が自然とほころんだ。
高校生になったら、制服姿で街へ遊びに来てクレープを食べるっていう夢があったんだ。
それが早速叶っちゃった。
すると、
「おーっ、イイ顔して笑えんじゃん」
――パシャ。
目の前でシャッター音が鳴った。