それはきっと、君に恋をする奇跡。


視線だけを音のした方に向けると、水瀬くんがあたしにスマホを向けていた。



「んーーーーーっ!」



また!?


口にケーキを頬張ったままの状態で、あたしは顔をしかめた。



「笑った方が、ホラ、結構かわいい」



撮った画像をあたしに見せてなにを言うかと思えば。



「……っ///」



結城くんといい水瀬くんといい。


軽い男の子は、女の子をどきどきさせるポイントを良く知ってるんだと思う。



顔を熱くしながら覗いた画面の中のあたしは、自分が想像していたより笑えていて。


……早速笑えた……?



でも、望みが叶って良かったっていうより、写真を撮られたことが恥ずかしくてたまらない。


……クレープはうれしいけど、それはナシだよ。


クレープをゴクリと飲み込んでから言う。



「……この間も撮ってたよね?いきなり撮るのやめてよ……」



そういえば、この間の文句もまだだった。

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