それはきっと、君に恋をする奇跡。


「いいだろ?減るもんじゃないし」


「そういう問題じゃなくてっ……」


「あ、もしかして陽菜って写真撮られたら魂抜かれるかもーって思うタイプ?」


「そ、そうじゃないけど、そんな急に撮られたらびっくりするし、それに……」


「それに……?」



男の子のスマホの中におさまるのなんて、恥ずかしいよ……。


だって、いつでも見られちゃうってことだし……。



「……この写真、悪用してたりしないよね?」



口から出たのは違う言葉だったけど、それもちょっと心配なのは本当。



「悪用って?」


「その、SNSに乗せたりとか……」



知らないところで自分の写真が晒されてる……なんて聞いたこともあるし。


そこから変な事件に発展したりとか……。


そういうのって、ちょっと怖い。



「陽菜の画像見て喜ぶ人がいればぜひともそうしたいとこだけど。一応需要ってものがあるからな~」


「ちょっ……!」



それって、あたしじゃ誰も喜ばないってこと?


喜ばれるとも思ってないけど、そんなにハッキリいわなくても……。


そんな水瀬くんを恨めしく見ていると、男の子のくせに甘いクレープをあっという間に平らげてしまった。
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