それはきっと、君に恋をする奇跡。


……もう。


これじゃああたしの立場がないじゃん。


お金は後で返そう。



「撮ったことないの?」



気を取り直して尋ねた先には、眉をしかめる水瀬くん。


機械なら男の子の方が強そうなのに、操作に難航してるみたい。



「ないない、男同士で撮ったらキモイだろ」



……じゃなくて、彼女と……って意味で聞いたんだけど。


ジッと窺うように視線を注いでみても、水瀬くんはまったく意味が分かってないようで。


画面の表示を食い入るように見ていた。



「あたしがやるからいいよ」



水瀬くんに変わってあたしがセットしていく。


友達とだったらゆっくりモードを選ぶけど、今日は凝る必要なんてないもんね。



「これでオッケー?」


「う、うん……」



いざ撮影に入ると、画面に並んで映る自分たちの姿に戸惑った。


男の子と2人きりのプリは初めてで、どう距離感を作っていいかわからないんだ。
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