それはきっと、君に恋をする奇跡。


「ほらもっとこっち!」



困ったあげく、少し距離を作ったあたしが画面からちょっとはみ出ていて。


水瀬くんがあたしの腕を掴んで引き寄せた。



「……っ、」



――パシャ!


その瞬間、シャッターが切れた。



えっ……?


そして、なぜか体が密着していてあわてて離す。



「うわっ、なんだよこれ」



目の前の静止画像は、驚いて目を丸くしたあたしが水瀬くんの胸に飛び込むような格好で収められていた。



「だっ、だって!」



水瀬くんが急に引っ張るからだよ……!



……水瀬くんの彼女がみたら絶対に誤解しちゃうよね。


これはボツにしないと。



「次、ちゃんとやれよー」


「……はい」



しゅんと返事をして。


再びフレーム内に収まるあたしと水瀬くん。



肩を寄せ合って、まるでカップルみたい……。


画面の中のカメラ目線の水瀬くんに、こっそり視線を移す。


ほんとにカッコいいなぁ……。


非の打ち所がないくらいに整った顔をしている。
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