【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
その手が行きついた先
赤子用の椅子を自分のもとへと手繰り寄せ、アオイを座らせる。
「ごらん、おいしそうだよ」
互いの距離はさらに近づいて、見つめあったふたりは優しい笑みを浮かべる。愛しさのあまり、キュリオは人目を気にせず彼女に口付けしてしまいたくなる衝動にかられた。
「私は待つよ。君と愛を育めるようになるまで――」
結局、人目があっても彼女の額にキスを落としたキュリオ。彼の言葉が届かなかった女官や侍女たちは純粋な親子愛を疑わず、その微笑ましい光景に目を細めている。
「食事を再開しようか」
「んきゃぁっ」
キュリオが傍に居るせいか、一際喜びを弾けさせるアオイ。心なしか一日過ぎるごとに反応がよく返ってくるようになった気がする。
「アオイ、これが何だかわかるかい?」
メレンゲの焼き菓子が入ったグラスを傾けて中を覗かせてみる。
「……?」
見たことのない白い物体にアオイの瞳は釘付けだ。しかし、それが食べ物だと理解していないようでいつまでも手を出そうとはしない。
キュリオは手本を見せるようにそれを指先でひとつ取り出すと、アオイに教えながら自分の口に運んでみる。
(少し硬いと思ったが、さすがはジル。口の中で泡が消えていくような不思議な食感だ)
ほんのり甘味も効いていて、歯の生えていないアオイでも難なく食べれるであろう美味い菓子に違いなかった。
「ほら、食べてごらん?」
グラスを下げ、アオイの可愛らしい手を誘導してみる。
「…………」
するとアオイはキュリオの顔と白い物体を見比べながら戸惑うようにグラスへと手を入れてみた。
「そう、上手だね。そのまま口へ……」
と、まで言ってキュリオは動きを止めた。
「……っ!」
キュリオの言わんとしていることが伝わったらしく、突如大きく見開かれたつぶらな瞳はキラキラと輝いて――
ようやく菓子を掴んだ小さな手の行先は、キュリオの口元へと運ばれて行くのだった。
「ごらん、おいしそうだよ」
互いの距離はさらに近づいて、見つめあったふたりは優しい笑みを浮かべる。愛しさのあまり、キュリオは人目を気にせず彼女に口付けしてしまいたくなる衝動にかられた。
「私は待つよ。君と愛を育めるようになるまで――」
結局、人目があっても彼女の額にキスを落としたキュリオ。彼の言葉が届かなかった女官や侍女たちは純粋な親子愛を疑わず、その微笑ましい光景に目を細めている。
「食事を再開しようか」
「んきゃぁっ」
キュリオが傍に居るせいか、一際喜びを弾けさせるアオイ。心なしか一日過ぎるごとに反応がよく返ってくるようになった気がする。
「アオイ、これが何だかわかるかい?」
メレンゲの焼き菓子が入ったグラスを傾けて中を覗かせてみる。
「……?」
見たことのない白い物体にアオイの瞳は釘付けだ。しかし、それが食べ物だと理解していないようでいつまでも手を出そうとはしない。
キュリオは手本を見せるようにそれを指先でひとつ取り出すと、アオイに教えながら自分の口に運んでみる。
(少し硬いと思ったが、さすがはジル。口の中で泡が消えていくような不思議な食感だ)
ほんのり甘味も効いていて、歯の生えていないアオイでも難なく食べれるであろう美味い菓子に違いなかった。
「ほら、食べてごらん?」
グラスを下げ、アオイの可愛らしい手を誘導してみる。
「…………」
するとアオイはキュリオの顔と白い物体を見比べながら戸惑うようにグラスへと手を入れてみた。
「そう、上手だね。そのまま口へ……」
と、まで言ってキュリオは動きを止めた。
「……っ!」
キュリオの言わんとしていることが伝わったらしく、突如大きく見開かれたつぶらな瞳はキラキラと輝いて――
ようやく菓子を掴んだ小さな手の行先は、キュリオの口元へと運ばれて行くのだった。