【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
ティーダとアオイ、運命の歯車
驚いたような表情から一見、苦しそうに眉間へと皺をよせた青年には様々な変化が表れていた。
いつの間にかヴァンパイアの象徴とも言える鋭い牙が口元から見え隠れし、白い指先では危険に光る鋭利で長い爪が剥き出しになっている。
「…………」
青年はその爪で傷つけてしまわぬよう、指を折り曲げ人差し指の関節あたりでアオイの頬を優しくなでた。
「……っ」
大きな瞳を潤ませ、なにか言いたげに胸元を掴んでくる幼い少女。
「……なぁアオイ、俺の名前わかるか?」
「?」
初めて彼に名を呼ばれ、アオイは驚いたように目を丸くしている。
「――俺の名はティーダ。キュリオと敵対してるヴァンパイアの王だ」
彼は不安に揺れるアオイを諭すように静かに語りかけた。
「こうなるのはお前のせいじゃない。遥か昔から決まってることだ」
「だから……そんな顔するな」
アオイの悲しげな表情にティーダはどうしたらよいかわからず、彼女の頬に己の頬を寄せる。そしてポロポロと零れた幼い涙。
「泣くなよ……」
明らかに自分を思って流れた涙にジンと痛んだ胸の奥。
そんなふたりの想いとは裏腹に扉の外から聞こえてきた足音がいよいよ間近に迫り、殺気立った悠久の王の気配がどんどん大きくなっていく。
彼とてティーダの気配に気づき、すでに臨戦態勢であることは明らかだった――。
いつの間にかヴァンパイアの象徴とも言える鋭い牙が口元から見え隠れし、白い指先では危険に光る鋭利で長い爪が剥き出しになっている。
「…………」
青年はその爪で傷つけてしまわぬよう、指を折り曲げ人差し指の関節あたりでアオイの頬を優しくなでた。
「……っ」
大きな瞳を潤ませ、なにか言いたげに胸元を掴んでくる幼い少女。
「……なぁアオイ、俺の名前わかるか?」
「?」
初めて彼に名を呼ばれ、アオイは驚いたように目を丸くしている。
「――俺の名はティーダ。キュリオと敵対してるヴァンパイアの王だ」
彼は不安に揺れるアオイを諭すように静かに語りかけた。
「こうなるのはお前のせいじゃない。遥か昔から決まってることだ」
「だから……そんな顔するな」
アオイの悲しげな表情にティーダはどうしたらよいかわからず、彼女の頬に己の頬を寄せる。そしてポロポロと零れた幼い涙。
「泣くなよ……」
明らかに自分を思って流れた涙にジンと痛んだ胸の奥。
そんなふたりの想いとは裏腹に扉の外から聞こえてきた足音がいよいよ間近に迫り、殺気立った悠久の王の気配がどんどん大きくなっていく。
彼とてティーダの気配に気づき、すでに臨戦態勢であることは明らかだった――。