【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
アレスの役目
「私には娘がいる。もちろん血の繋がりのない女の赤子だ」
「……っ!」
「……」
「……」
反応は様々だった。
大きく目を見開いた若きアレスとは違い、キュリオの下した決断へどこまでも従順なガーラントとダルドは表情を変えることなく王の声に聞き入っている。
「彼女を見つけたのは聖獣の森だった。
たったひとり置き去りにされた赤子は調査の結果、悠久に肉親は存在しないことがわかった。そこで君たちに使者として届けてもらった書簡があっただろう? あれは彼女の出生を調べるために他国へ出した協力要請だったのさ」
「…………」
(……聖獣の森……
僕は彼らと言葉を交わすことが出来る? なにか手がかりは……)
ダルドは人型聖獣であるため、なんとかできそうな予感が脳裏を掠めていく。
しかし、彼は聖獣という概念より人間として生きている。そのため聖獣へ近づいたり言葉を交わしたことがないのだ。
「……」
(たしか<冥王>マダラ様のとき……「該当者なし」と言っていた。
他の三国の回答はわからないけれど、少なくとも精霊の国の出であることは考えられない。ということは残り二ヵ国……)
悠久の国と親交のあるエデン王の治める雷の国か、それとも――……。
書簡の内容をどんなにガーラントに問うたところで口を割らなかった理由がこれだ。もし、その赤子がどこの国の者かもわからないとあれば彼女は将来、心なき民たちにひどい仕打ちを受ける可能性があったのだ。
そしてキュリオはすでにその赤子を"娘"と呼んでいる。
想像するに彼女の肉親は現れなかったか、出生不明で終わったに違いない。
キュリオの大きな慈悲の心が垣間見え、ロイ同様アレスは今更に尊敬の眼差しでキュリオを見つめた。
(……キュリオ様はやっぱり凄い。得体の知れない恐れられるかもしれない存在に愛を……)
この世界にはヴァンパイアという種族が存在している。悠久を苦しめたというあの忌まわしい存在だ。
「聡明なふたりならば、おおよその察しはついただろう?」
ダルドとアレスはキュリオの真剣なまなざしを受け、小さく頷いたのだった。
「……っ!」
「……」
「……」
反応は様々だった。
大きく目を見開いた若きアレスとは違い、キュリオの下した決断へどこまでも従順なガーラントとダルドは表情を変えることなく王の声に聞き入っている。
「彼女を見つけたのは聖獣の森だった。
たったひとり置き去りにされた赤子は調査の結果、悠久に肉親は存在しないことがわかった。そこで君たちに使者として届けてもらった書簡があっただろう? あれは彼女の出生を調べるために他国へ出した協力要請だったのさ」
「…………」
(……聖獣の森……
僕は彼らと言葉を交わすことが出来る? なにか手がかりは……)
ダルドは人型聖獣であるため、なんとかできそうな予感が脳裏を掠めていく。
しかし、彼は聖獣という概念より人間として生きている。そのため聖獣へ近づいたり言葉を交わしたことがないのだ。
「……」
(たしか<冥王>マダラ様のとき……「該当者なし」と言っていた。
他の三国の回答はわからないけれど、少なくとも精霊の国の出であることは考えられない。ということは残り二ヵ国……)
悠久の国と親交のあるエデン王の治める雷の国か、それとも――……。
書簡の内容をどんなにガーラントに問うたところで口を割らなかった理由がこれだ。もし、その赤子がどこの国の者かもわからないとあれば彼女は将来、心なき民たちにひどい仕打ちを受ける可能性があったのだ。
そしてキュリオはすでにその赤子を"娘"と呼んでいる。
想像するに彼女の肉親は現れなかったか、出生不明で終わったに違いない。
キュリオの大きな慈悲の心が垣間見え、ロイ同様アレスは今更に尊敬の眼差しでキュリオを見つめた。
(……キュリオ様はやっぱり凄い。得体の知れない恐れられるかもしれない存在に愛を……)
この世界にはヴァンパイアという種族が存在している。悠久を苦しめたというあの忌まわしい存在だ。
「聡明なふたりならば、おおよその察しはついただろう?」
ダルドとアレスはキュリオの真剣なまなざしを受け、小さく頷いたのだった。