【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
第一位の王が統治する国
「え……」
ハッとアレスが顔を上げると、先ほどまでかなり遠くに見えていた精霊の国の門が目と鼻の先に迫っていることに気づく。
「あれ……、どう……して……」
まさかの光景に激しく打ちつける鼓動が大量の冷や汗を連れてくる。
この不可解な状況を説明するには曖昧な知識は役に立たず、目に見えない力が作用していることだけがわかった。
すると……扉の向こう側からは少年の動揺をみて笑う少女の声が聞こえる。
『ふふっ……どうぞ中へお入りくださいなっ』
声に誘われるように扉へ近づくと、小さな旋風(つむじかぜ)が目の前をゆらりと移動し、さらなる金の光が顔を覗かせる。精霊の国に対する好奇心から、また一歩近寄ったアレスはガシッと肩を掴まれてしまった。
「アレス、彼女は風の精霊だ。この国に足を踏み入れたら二度と戻れないと思え」
唸るように声を発し、肩を掴んでいたのはブラストだった。
「……に、二度と? そんなっ……!」
好奇心に駆られ、己に迫る危険を予見できなかったアレス。加護の灯を握る彼の手は恐怖で小刻みに震えている。
ハッとアレスが顔を上げると、先ほどまでかなり遠くに見えていた精霊の国の門が目と鼻の先に迫っていることに気づく。
「あれ……、どう……して……」
まさかの光景に激しく打ちつける鼓動が大量の冷や汗を連れてくる。
この不可解な状況を説明するには曖昧な知識は役に立たず、目に見えない力が作用していることだけがわかった。
すると……扉の向こう側からは少年の動揺をみて笑う少女の声が聞こえる。
『ふふっ……どうぞ中へお入りくださいなっ』
声に誘われるように扉へ近づくと、小さな旋風(つむじかぜ)が目の前をゆらりと移動し、さらなる金の光が顔を覗かせる。精霊の国に対する好奇心から、また一歩近寄ったアレスはガシッと肩を掴まれてしまった。
「アレス、彼女は風の精霊だ。この国に足を踏み入れたら二度と戻れないと思え」
唸るように声を発し、肩を掴んでいたのはブラストだった。
「……に、二度と? そんなっ……!」
好奇心に駆られ、己に迫る危険を予見できなかったアレス。加護の灯を握る彼の手は恐怖で小刻みに震えている。