【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
心眼の王
「教官……ヴァンパイアの王のもつ二つ名を伺っておりませんでしたが、先に冥王の別名をお聞かせ願いますか……?」
普段のアレスならば経験に基づいて順を追った説明を求めたかもしれない。しかし、目前には新たな国へとつながる門があるため、できるだけ備えたいのが正直な気持ちだった。
「そうだな、先に冥王の別名を教えておこう」
「……彼のもつ二つ名は……<心眼の王>だ」
「心眼……」
(心の目によって真実を見抜く力……死の国に魔法は存在していないはず。魂を狩るなんて……人智を超えた存在と能力は説明がつかない。……いや、冥王だけが特別じゃない。他の四人の王にも言える事なんだ……)
アレスが冷静に力の差、そして越えられない壁の大きさを実感していると後ろにいたカイが怯えたような声をあげる。
「な、なぁ……もし、こいつに勝てるかなぁ? とか考えてたら魂狩られたりすんのか……?」
「本心からのものじゃないなら目をつぶってくださるとは思うが……俺達は<使者>だということを忘れるな。万が一にも相手に敵意を持つようなことは考えるな」
「……じょ、冗談だってっ……!」
ブラストがカイを戒めるように言い放つが、その物言いにもやたらと力が入っているように感じるのは気のせいではないはずだ。
その時――……
『……で、僕に何の用?』
普段のアレスならば経験に基づいて順を追った説明を求めたかもしれない。しかし、目前には新たな国へとつながる門があるため、できるだけ備えたいのが正直な気持ちだった。
「そうだな、先に冥王の別名を教えておこう」
「……彼のもつ二つ名は……<心眼の王>だ」
「心眼……」
(心の目によって真実を見抜く力……死の国に魔法は存在していないはず。魂を狩るなんて……人智を超えた存在と能力は説明がつかない。……いや、冥王だけが特別じゃない。他の四人の王にも言える事なんだ……)
アレスが冷静に力の差、そして越えられない壁の大きさを実感していると後ろにいたカイが怯えたような声をあげる。
「な、なぁ……もし、こいつに勝てるかなぁ? とか考えてたら魂狩られたりすんのか……?」
「本心からのものじゃないなら目をつぶってくださるとは思うが……俺達は<使者>だということを忘れるな。万が一にも相手に敵意を持つようなことは考えるな」
「……じょ、冗談だってっ……!」
ブラストがカイを戒めるように言い放つが、その物言いにもやたらと力が入っているように感じるのは気のせいではないはずだ。
その時――……
『……で、僕に何の用?』