【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
冥王の異能力
さらに低く呟いた冥王の声にアレスの体中の血液が一瞬にして引いて行き……<心眼の王>に心を読まれているのだとようやく気づく。
「……まさか心を……」
(しかもそれは今じゃない……ガーラント先生の事を考えたのはもっと前、門が開かれるよりずっと前だった……っ!!)
「……そこにいるのは五人か。魔導師が三人に剣士が二人。キュリオ殿からの書簡の内容は……」
まるでアレスの記憶と会話するかのように冥王が答えていく。そして数秒の沈黙のあと――
「……該当者なし。つまらない」
門番の背後から白い手をひらひらと翻すのはおそらく冥王だ。彼は興味を失ったようにそのまま靄の奥へと歩いて行く。揺れる靄の流れで彼が本当にその場を後にしたことがこちらにもわかった。
すると門番の一人が冥王の意図を察し、深く頭を下げる。
「書簡の内容は我々には存じ上げませんが、マダラ様の今のお言葉は返答としてふさわしいものかと思われます。どうか貴方がたの王へ我が王の言葉をお伝えください」
「……か、かしこまりま……した」
まだ震えが止まらぬ唇をやっと動かしたブラストは、冥王の力を疑うことなくその言葉を返答として了承したのだった――。
「……まさか心を……」
(しかもそれは今じゃない……ガーラント先生の事を考えたのはもっと前、門が開かれるよりずっと前だった……っ!!)
「……そこにいるのは五人か。魔導師が三人に剣士が二人。キュリオ殿からの書簡の内容は……」
まるでアレスの記憶と会話するかのように冥王が答えていく。そして数秒の沈黙のあと――
「……該当者なし。つまらない」
門番の背後から白い手をひらひらと翻すのはおそらく冥王だ。彼は興味を失ったようにそのまま靄の奥へと歩いて行く。揺れる靄の流れで彼が本当にその場を後にしたことがこちらにもわかった。
すると門番の一人が冥王の意図を察し、深く頭を下げる。
「書簡の内容は我々には存じ上げませんが、マダラ様の今のお言葉は返答としてふさわしいものかと思われます。どうか貴方がたの王へ我が王の言葉をお伝えください」
「……か、かしこまりま……した」
まだ震えが止まらぬ唇をやっと動かしたブラストは、冥王の力を疑うことなくその言葉を返答として了承したのだった――。