【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
雷の国の返事
「お久しぶりでございます。悠久の王キュリオ様」
恭しく頭を下げた雷の国の使者たちは、とても礼儀正しく足並みもそろっている。大柄なのは雷の国の民の特性のようで、道をあけたブラストよりも遥かに大きかった。
(雷の国の使者? いくらなんでも早すぎる……)
彼らがキュリオから依頼された調査の時間を除いて考えても移動にかかる時間があまりにも短く、ブラスト以外の四人、とくにカイとアレスは度肝を抜かれてしまった。そして乱れぬ一挙一動から、エデン王に仕える家臣たちは精鋭揃いということがわかる。
「エデン様が急用にて離城中のため、代理の大臣より返答を預かってまいりました」
「急がせてすまなかった。ありがとう」
封書を受け取ったキュリオはすぐにそれを開けず、じっと見つめているだけだった。その様子を見ていた使者のひとりが言葉を発する。
「内容に不備等ございましたら、なんなりと御申しつけください」
彼らが立ち去らないところをみると、キュリオに失礼のないよう大臣に言われてきていることがわかる。悠久の王に不満なところがあれば即座に持ち帰り、新たに書状を作成してくる構えだろう。
『……大丈夫ですかな? キュリオ様……』
五大国最後となる雷の国からの返答に、赤子の出生を明らかにする決心が揺らいでいるように見えたガーラントは心配そうに声をかける。
「……あぁ、問題ない」
それだけ呟いたキュリオはゆっくり封を開いていく。手紙を取り出すと、まず丁寧な挨拶文から始まり、次にエデン王の代理だという謝罪の言葉が綴られていた。そして中盤に差し掛かり、本題に入ると……――またも"該当者なし"の文字が刻まれていた――
恭しく頭を下げた雷の国の使者たちは、とても礼儀正しく足並みもそろっている。大柄なのは雷の国の民の特性のようで、道をあけたブラストよりも遥かに大きかった。
(雷の国の使者? いくらなんでも早すぎる……)
彼らがキュリオから依頼された調査の時間を除いて考えても移動にかかる時間があまりにも短く、ブラスト以外の四人、とくにカイとアレスは度肝を抜かれてしまった。そして乱れぬ一挙一動から、エデン王に仕える家臣たちは精鋭揃いということがわかる。
「エデン様が急用にて離城中のため、代理の大臣より返答を預かってまいりました」
「急がせてすまなかった。ありがとう」
封書を受け取ったキュリオはすぐにそれを開けず、じっと見つめているだけだった。その様子を見ていた使者のひとりが言葉を発する。
「内容に不備等ございましたら、なんなりと御申しつけください」
彼らが立ち去らないところをみると、キュリオに失礼のないよう大臣に言われてきていることがわかる。悠久の王に不満なところがあれば即座に持ち帰り、新たに書状を作成してくる構えだろう。
『……大丈夫ですかな? キュリオ様……』
五大国最後となる雷の国からの返答に、赤子の出生を明らかにする決心が揺らいでいるように見えたガーラントは心配そうに声をかける。
「……あぁ、問題ない」
それだけ呟いたキュリオはゆっくり封を開いていく。手紙を取り出すと、まず丁寧な挨拶文から始まり、次にエデン王の代理だという謝罪の言葉が綴られていた。そして中盤に差し掛かり、本題に入ると……――またも"該当者なし"の文字が刻まれていた――