GAME
逃げる側side(田中)






俺は隠れるために一番近かった音楽室に、飛び込んだ。




楽器を収納するための大きな棚に隠れじっと息を潜めながら音楽室に隠れた事を後悔した。


唯一他の階に行ける通路の「階段」に近ければ近いほど早く見つかってしまう。


今からどこか他の場所へ逃げようかと思ったがもうとっくに5分は過ぎていた。今動いたら危険だ...






そしてしばらく息を潜めていると音楽室の扉があく音がした。


あぁ...最悪だ。







音楽室の床は絨毯になっていて足音なんて鳴らなかったがそれがより一層不安を深めた



こちらに向かっているのか。それともウィンドアンサンブル部の部室に向かったのか。

心臓がうるさいくらいに響く。




その時ガチャリと俺がいる棚とは反対の端の棚が開けられた。








棚を開けたソイツは扉はちゃんと閉め直している様だった。
幸いこの棚は横に仕切りはなく、四つん這いになれば横に動けた。


相手が閉めたタイミングを見計らってもう見終わった棚へ移動する。









バレるかも知れないと言う恐怖で震える拳を握りしめ再び息を潜めた。




ソイツが全て確かめ終え、全て扉が閉められ真っ暗になった。そっと耳を澄ませる。人気配は無い。



ふぅと安堵の息を吐きそっと扉を開けた。














開けた先には鬼の桐谷愛斗がいた。


「あ、やっぱりいた...」





桐谷が笑う。


俺は考えるよりも先に棚を飛び出し音楽室の外へ走って逃げた。





取り合えずどこかに隠れなければ...!!


ちらりと後ろを見ると桐谷も追いかけてきている。





俺は比較的運動は出来る方だが桐谷はずば抜けて足が速かった。





このままでは追い付かれる...!!

俺はふと目についた教室に飛び込んだ。
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