会いたい
札幌は、雪。

「めっちゃすごい、雪やなぁ〜」

リハーサルを終え、会場を後にする健二郎が肩をすくめながら、車に乗り込む。

「マキさん達、やっぱり飛行機ダメだったって」

先に乗り込んでいた、ナオトが心配そうな口調でそう言った。

「やっぱ、あかんかったか〜。新幹線は動いとるん?」

「ダイヤ乱れまくりだけど、なんとか乗れたみたいだよ。徐行運転らしいけど」

「はぁ〜、今夜中に着くんか?」

「なんか、俺らのライブに来て貰うのにこんな雪の中、申し訳ないよね」

と、エリーは事務所の先輩であるMAKIDAIたちに大変な思いをさせてしまっていると、心配そうに呟いた。

「アァ、神様。マキさん達が無事に到着しますように」

健二郎が胸の前で掌をこすり合わせながら、お祈りする。

他のメンバー達も心の中でそう願った。

今夜の雪は、とどまることを知らないかのように降りしきり、数メートル先も見えない程だった。

会場から、ホテルまででもかなりの徐行運転だ。

三代目の車は、ホテルに到着。

「ファンの子達も大丈夫かなぁ。無理しないで欲しいよね」

エレベーターの中、登坂がそういうと、

「だよね。でもさ、俺達に会うために必死で皆来てくれるから明日も最高のライブにしないとね」

今市は、そう言って登坂の肩をポンと叩く。
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