会いたい
「さぁ、工藤くんも楓さんもこちらにどうぞ」

MAKIDAIの母が二人の為にと食事を準備してくれている。

楓は、事故のショックのせいか朝も昼もほとんど食事をとっていなかった。

MAKIDAIの笑顔を見ることもでき、両親の息子への愛情を間近で感じてホッとしたところで、楓も急にお腹が空いてきた。

「MAKIDAI、悪いな、遠慮なく頂きます」

二人は嬉しそうに手を合わせる。

事故の翌日の昼なのに実に穏やかな風景だった。

世間は、事故の報道やライブの中止の話題で大賑わいであろうが、午前中に駆けつけた事務所の関係者達が、一通り話をしたようだが、工藤も両親も出来るだけその話題に触れないようにと気遣っていた。

「んっ、美味し〜い」

楓が一口食べて、喜ぶ。

「そうでしょ、美味しいでしょ〜。こんなに美味しいのに大ちゃん食べれないなんて可哀想よねぇ」

母がコップにお茶を注ぎながら、MAKIDAIの顔を見る。

「早く元気になって、食べたいなぁ」

「そうそう、その粋で頑張らなきゃね〜」

MAKIDAIが羨ましそうにこちらを見てそう言うと母はニコニコしながらそう言った。
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