会いたい
「今、どこ?…あ、じゃあ、あと10分位だね。…オッケー、うん、また後で」

MAKIDAIと少し離れた場所で、こそこそと電話をする工藤。

工藤が朝から病室にいた。

「工藤ちゃん、今日は他の現場じゃないんだ」

「送迎だけは行って来たよ。人手不足だからなぁ」

「でしょ」

MAKIDAIもいつもマネージャー陣が駆使している様子を目の当たりにしている。

「でも、今日は、ちょっとね」

「ちょっと、なに?」

「なんだろうねぇ」

工藤がもったいぶるようにそう言った。

「何か、企んでる?」

「別に〜」

MAKIDAIは、わざとらしくとぼける工藤を疑いながら、リハビリへと向かう。

MAKIDAIのリハビリが終わるの待ち、病室へと付き添う。

「明日の検査結果が良ければ、退院だろ」

「うん、あとは自宅療養だから、また色々世話になると思うけど…」

「気にするなよ。早く仕事、復帰したいんだろ」

「うん、休んだ分取り返さないとね」

「そういえば、楓さんは、怪我、大丈夫かなぁ?」

工藤が話題を変えた。

「うん、電話では良くなってるとは言ってたけどね」

「そっか」

「この時期だし、次いつ東京へ来れるか分かんないって」

「会いたい?」

「いや、会えるなら会いたいけど…」

工藤には、楓との話はまだ何も言っていない為、少し控えめなMAKIDAI。

病室に戻り、ベットに腰掛ける。

「はぁ、ちょっと疲れたなぁ」

「いくら、元々鍛えてるとは言っても、痛みが治まるまではなぁ」

「まぁね」

工藤は腕時計を見て、ちらっと入り口の方に目をやる。

「今日は、誰か来るんだっけ?」

MAKIDAIが何気にそう聞いて来た。

「いや、今日はどうだったかな?」

工藤がやんわりととぼける。
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