会いたい
二人きりになると楓は、

「どうしても会いたかったから、来ちゃいました」

と言って、MAKIDAIを見つめてにっこり笑う。

「うん、嬉しいよ」

MAKIDAIはゆっくりと立ち上がり、楓の側までゆっくり、ゆっくりと歩いてくる。

そして、優しく楓を抱きしめた。

「会いに来てくれて、ありがと」

「うん、会えて嬉しい。ねぇ…もう、痛くないの?」

歩く様子を見ていたが、心配で仕方ない楓。

「うん、大丈夫。楓さんこそ大丈夫?」

MAKIDAIは、楓の額を確認しようと覗き込む。

「髪で隠れて分からないでしょ」

MAKIDAIの顔が近づくと、照れ臭い。

「うん、ぱっと見はね。でも痛くない?」

「うん…大丈夫」

「俺も、おまじないの効果あったみたい」

「え、本当?うふ、よかった」

「おまじない、もっといっぱいしてくれたら、もっと早く良くなるかも」

MAKIDAIは、にやっと笑う。

楓は、少し呆れたように笑うがMAKIDAIはもう待てないようで、

「んっ」

楓の唇を奪う。

MAKIDAIは、楓が予定をギリギリまで調整して、会いに来てくれたことが嬉しくて愛おしくてたまらなかった。

楓もMAKIDAIの元気な姿を見ることが出来、安心からか、思わず身を任せてしまう。

しかし、楓ははっと我に帰りMAKIDAIを押し離す。

「ね、急に人が来たら…大変」

「うん、ごめん。我慢出来なかった」

MAKIDAIは、笑いながらもう一度楓を抱きしめた。
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