会いたい
事故の後、楓がMAKIDAIに会いに行くまで、楓の家の中もまぁ色々と大変だった。

MAKIDAIとの事は秘密のままだった為、色々と誤魔化すのには、苦戦した。

事故の事は、当事者であることは言えず、自分の怪我も転んで怪我したことに。

MAKIDAIに会いに行く日も強行スケジュールで東京に行くことは子供達には内緒だったり、年末はとにかくバタバタとした。

そして、今回はどうやってMAKIDAIに会いに行くか、また作戦を練る楓。

そんな時間も楽しい。

MAKIDAIは退院して、自宅療養中だった。

…「いつ、来る?」

「どうしようかな」…

事故の前は、仕事込みで会っても月に一回会えればいいところだった。

しかも、長くて数時間しか一緒にいられなかったが、今はMAKIDAIが療養中の為、時間はたっぷりある。

楓もその時間を有効活用しようと、復帰までは出来る限り東京に行きたいと思っていた。

スケジュール帳を見ながら、

…「金曜の夜、行っていい?」

「こっちはいつでもオッケーだよ。あー、夜来るなら、俺ん家に泊まってく?その方が…」

「え、泊まる?」

ホテルに泊まる前提で考えていた為、急にそう言われて楓が言葉に詰まると、MAKIDAIは、

「あ…、あの、いや、ホテル代ももったいないし。あのっ、時間も、ほら、うちなら気にしないでいいからさ。いや、これは誰にでも言ってる訳じゃないから」…

と、軽い男だと思われたのではと焦る。

…「ありがとう助かります。MAKIDAIさんがそう言ってくれるなら、お言葉に甘えて」…

楓から、泊めて欲しいとは言いにくいのでそう言って貰えて逆に有難い。

…「あの、やましい気持ちは…、全然。いや、少しは…(笑)」

「ふふっ、家なら、ゆっくり出来ますね」…

MAKIDAIの焦りをよそに、落ち着いた口調だったが、初めてのMAKIDAIの自宅に行く上に泊まりとあって、内心ドキドキだった。
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