会いたい
「お風呂、ありがと」

入浴をすませて、リビングに戻って来た楓。

すっぴんにパジャマ姿ですっかりくつろぎモードだ。

「パジャマ姿もいいね」

MAKIDAIは、ニヤケながらそう言った。

「そう?パジャマが一番くつろげるから。私、ホテルに泊まる時も、パジャマ持って行くの。ホテルのパジャマだと、全然くつろげなくて…」

「分かる、匂いとかも違うしね」

楓は、ふと思い出す。

「あ、そういえば、MAKIDAIさんのお気に入りの柔軟剤って…」

「ダウニー」「ダウニー」

同時に答え、笑う二人。

MAKIDAIは、柔軟剤のダウニーの香りが好きでライブのメンバーグッズでも、ダウニーをマキニーと命名して販売したこともある。

「ずっとダウニーなの?」

「ダウニー、好きだね」

楓は、ソファに座っているMAKIDAIの隣に座り、服に鼻を近づける。

「ふふっ、ダウニーの匂い」

MAKIDAIは、自分の家で楓が自然な流れで自分に触れてきたり、パジャマ姿でくつろいでいるのが、不思議な感覚でもありながら、嬉しくもあり、楓との距離がグッと近付いたことを実感した。

「楓さんは、何使ってるの?」

MAKIDAIがたずねると、楓は自分の服の袖を鼻に近付け、首を傾げる。

「なんて、名前のだったかな?」

「ん、どんな香り?」

MAKIDAIは楓の手をとり、袖に鼻を近づけ匂いを確かめる。

「うん、楓さんを抱きしめるといつもこの匂いがする」

そう言われて、楓が少し照れくさそうに笑うと、MAKIDAIは楓をグッと抱き寄せる。

「ふふ、よかった。」

楓が安心したように言った。

「なんでよかったの?」

「ん…、いつも煮物とかお肉の匂いがするって言われなくて、よかったってこと」

「いつも、料理してるから?」

「そう」

「まぁ、俺的にはありだけどね。いつも美味しい料理作ってくれる楓さんも好きだから」

「本当?」

「うん、本当」

楓は、幸せを噛みしめるようにMAKIDAIの胸にそっと顔をうずめる。
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