会いたい
食材の買い出しも終わり、自宅へと戻ってきた3人。

「じゃ、俺は仕事に戻るね」

「ありがと、工藤ちゃん」

工藤が帰ると早速料理に取り掛かる楓。

「俺もなんか手伝おうかな」

「ありがとう。疲れてない?」

「全然大丈夫だよ」

「新しいお鍋出してくれる?」

「さっき買ったやつだね」

「うん」

そう言って、MAKIDAIは、箱から鍋を出す。

「楓さんの好きな食べ物は?」

「私が好きなのは…、んー韓国料理が多いかな?」

「へぇ、韓国料理ね」

「ふふっ、韓流ドラマの見すぎかな?」

「へぇ、楓さん、韓流ドラマとか見るんだ」

「うん、大好き。それで、ドラマの中で出てくる料理が食べたくなったりしてね」

「へぇ、そうなんだ。マッコリ飲みながら、焼き肉とかいいなぁ。あっ、じゃあ、俺の復帰祝い、韓国料理行く?」

「え、本当に?嬉しい。楽しみ〜。えっと、巣鴨じゃなくて、麻布じゃなくて、あっ、新大久保!有名でしょ。ん、でも、東京なら、他にもあるよね」

「そんなに、嬉しい?」

楓のはしゃぐ姿を見てMAKIDAIも嬉しい。

「うん、だって、子供と一緒だと中々行けないから、いつか東京来た時に行こうと思ってたの。MAKIDAIさんと行けるなんて最高!」

MAKIDAIは、楓の後ろに立つとそっと抱きしめた。

楓は、MAKIDAIの腕に自分の腕を絡ませ目を閉じる。

「ありがと、MAKIDAIさん」

「お礼を言うのは、俺の方だよ。東京まで来てもらって、食事の準備までしてもらってるのに」

「いいの、私がMAKIDAIさんに会いたくて来てるんだし、お節介で食事の準備してるだけなんだから」

楓は、くるりと向きを変えてMAKIDAIの顔を見つめ、

「ずーっと片思いだった人がこうして目の前にいて、私を抱きしめてくれてる。それだけで、幸せなの」

少し照れ臭そうに笑い、MAKIDAIの胸に頬を埋める。

そんな楓が愛おしくて堪らないMAKIDAIだった。
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