夏の天使

プロローグ

　東京には必ずある芸能人のための学校、その名は高宮。俺、佐伯海（さいきかい）は高宮に通い始めた。小学生からＣＭ、ドラマ、映画と多数出演しておりファンも海外にまで広まっている。だから普通の学校に通えず不満を抱えながら仕方なく高宮に。
「おい海。今日は1時からＯＢＡ局で生放送が入ってるから早めに食事済ませておけよ。」
「わぁかってるよ南（なん）。」
こいつは俺のマネージャーの南祐介（みなみゆうすけ）。なんか『みなみ』なんてありきたりな感じだから『なん』と呼んでいる。そんなに歳も離れてないのでお互いタメ口だ。
「あっ、それと海の学校の近くに海があるだろ。天気が良ければそこで今出演しているドラマの撮影があるから。」
俺は飲んでいたカフェオレを吹き出す。
「な、なんでっ！？なんでわざわざあんな所でする必要あんの！？」
別に何もなければこんな驚くことはない。学校の近くの海で撮影しても問題はない。しかし、こんな驚く俺がいるならなんかまずいことになっているのはお分かりだろう。実は、俺には恋している人がいる。名前は見月夢（みつきゆめ）。同い年で同じ学校のうえにクラスも一緒。夢とは高宮に入学して初対面だというのに意気投合して仲良くなった。夢にとっては初対面でも俺は違う。俺は夢のＣＭを初めて見たときから知っていた。夢はというとあまりテレビをみようとしないみたいでよくテレビに映る俺を知らなかったという。でも俺は嬉しかった。やっと夢と友達になれたのだから。だけど仕事だからと言って演技している所を見られるのは恥ずかしい。
「高宮の裏にある海は他の海より優れて綺麗で監督が気に入っているんだよ。まあ他の生徒から見られながら演技するのは嫌かもしれないがこれも1つの試練だと思え！じゃ俺はこれから用があるから。」
「えっ！？ち、ちょっと、まてよっおい！」南は俺から逃げるように素早く去っていった。