神様修行はじめます! 其の五
 それは、そうだろう。隠し事がバレたときの、しっぺ返しの凄まじさたるや。


 自分で自分の首を死ぬほど絞めることになるのは、昔からいろいろとお母さんに隠し事をしてきた身としては、痛いほど身に染みている。


「アマンダ、落ち着きましょう。永久様が姿を隠した事実は、じきに周知の事実となりますわ」


「一生逃げ続けるわけには、いかぬのでおじゃる。ならばやはり、連れ戻すのは早い方が良いのでおじゃる」


 …………。


 あたしは落ち着くために、口と鼻から全力で息を吸い込み、全力で吐き出した。


 超気合いの入った深呼吸を三回繰り返し、グッと唇を引き締めて、腹の底に力をこめる。


 そうだ。そもそも、門川当主が姿を消していること自体が、すでにレベル5の緊急事態なんだよ。


 あたしは門川君の護衛だ。

 だから彼を連れ戻して、正しい事情を把握したうえで、彼を全身全霊で守ることが鉄則なんだ。


 悪い思考ばかりに囚われて、目を曇らせちゃいけない。


 正しい思考と取るべき行動を、停止させてはならない。


 ほれ、しっかりしろ! あたし!


「そうだよね。大急ぎで門川君を見つけ出そう。でも、どうやって?」


 事情の断片だけは分かったけど、結局のところ、ふたりの行き先の手がかりは見つからなかった。


 あのふたりは、いったいどこにいるんだろう?


「うぅむ……。こうなってくるとやはり、あの場所へ行った可能性が一番高い……かのう?」

「え!?」


 絹糸の声に、みんなが素早く反応した。


 ワッと素早く絹糸を取り囲んで、上からギャイギャイ大声で騒ぎ立てる。


「絹糸殿、まさか心当たりがあるのでおじゃるか!?」


「ベルベットちゃんたら、なに情報の出し惜しみしてますのよ!?」


「早く教えてください! 永久様はどこ行っちゃったんですか!?」


「うああぁぁーー!」


「いや、心当たりがある……といえば、ある、と言えないこともない……ような気が、のぅ……」


「どっちよ!?」
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