神様修行はじめます! 其の五
「だが、しょせん水の世界は『異界』なのだ。やはり人が生きる場所ではない」
天上が人の世界ではないように、水底も人の世界ではない。
そんな異界に人が住み続け、特殊な水の力を利用して、延々と大量に宝物を作り続けるという行為は、空間そのものに多大な『無理』を強いた。
無理やムチャが重なり続ければ、それは当然疲弊し、歪みが生じる。
光り輝く清水が徐々に濁りはじめ、それにつれて小浮気一族は、太鼓橋の下で暮らすことができなくなってしまった。
「水が、人を拒絶したのだろう。以来、我ら一族は地上に住むようになり、水は日を追うごとに濁り続けて、今ではあの始末だ」
はぁ、それで太鼓橋の下の水を利用できなくなった小浮気一族は、宝物を創り出すことができなくなった。
だから現在は、かつて自分たちが創った宝物の管理の役目を担ってる……って事情だったのか。
「我が永久の気配を探したが、ここにはおらなんだ。ここにおらぬ、ということは……」
「ここではない場所。つまり永久様は『異界』にいる。ということでおじゃりますか?」
「ふむ。どこにも行けぬ結界の中で煙のように消滅したのでなければ、その可能性が高いであろう」
「しかもその『異界』は、かつて水絵巻が生み出された場所でもある。ということでございますね?」
みんなの話を聞いているうちに、あたしの胸に一条の光がサッと差し込んできた。
いまの話を総合して、推論すると、それってもしかして……。
「水絵巻を修復する手立てがあるかもしれない……ってこと?」
「可能性じゃ。確証はなにもない。じゃが永久がなんの手立ても講じず、ただ逃げ隠れしているとは思えぬ」
天上が人の世界ではないように、水底も人の世界ではない。
そんな異界に人が住み続け、特殊な水の力を利用して、延々と大量に宝物を作り続けるという行為は、空間そのものに多大な『無理』を強いた。
無理やムチャが重なり続ければ、それは当然疲弊し、歪みが生じる。
光り輝く清水が徐々に濁りはじめ、それにつれて小浮気一族は、太鼓橋の下で暮らすことができなくなってしまった。
「水が、人を拒絶したのだろう。以来、我ら一族は地上に住むようになり、水は日を追うごとに濁り続けて、今ではあの始末だ」
はぁ、それで太鼓橋の下の水を利用できなくなった小浮気一族は、宝物を創り出すことができなくなった。
だから現在は、かつて自分たちが創った宝物の管理の役目を担ってる……って事情だったのか。
「我が永久の気配を探したが、ここにはおらなんだ。ここにおらぬ、ということは……」
「ここではない場所。つまり永久様は『異界』にいる。ということでおじゃりますか?」
「ふむ。どこにも行けぬ結界の中で煙のように消滅したのでなければ、その可能性が高いであろう」
「しかもその『異界』は、かつて水絵巻が生み出された場所でもある。ということでございますね?」
みんなの話を聞いているうちに、あたしの胸に一条の光がサッと差し込んできた。
いまの話を総合して、推論すると、それってもしかして……。
「水絵巻を修復する手立てがあるかもしれない……ってこと?」
「可能性じゃ。確証はなにもない。じゃが永久がなんの手立ても講じず、ただ逃げ隠れしているとは思えぬ」