神様修行はじめます! 其の五
「みんな、そこにいるんだよね? いたら返事して?」

「アマンダ、わたくしはここですわ」

「ボクもいます。皆さん、大丈夫ですか?」

「ふう、間に合ってよかったでおじゃるよ」

「間一髪でございましたね」

「ひぃぃぃ~……」


 最後のメッチャ情けない声は、クレーターさんだな。よしよし、全員揃ってる。


「それにしても真っ暗だよね。みんなの姿も見えないよ。ねぇ絹糸、なんか見える?」


「…………」


「あ、そっかゴメン。クレーターさんを咥えてるから話せないのか」


「絹糸殿、麻呂の結界が周囲を包んでおじゃりますので、小浮気様を口から放しても大丈夫におじゃりまする」


―― ドスンッ

「うぎゃ!?」


 あ、いま口から放り投げたな? 容赦なく。


「やれやれ。それにしても予想通り、なにも見えぬな」


「絹糸でも見えないの? 困ったね」


「とりあえず底の方へ向かうしかあるまい。行くぞ」


 方向感覚はしっかりしているらしい絹糸が、あたしたちを順調に下へと運んで……くれているらしい。どうやら。


 自分が移動してる感じだけは分かるんだけど、本当にどこに向かってるのか、まったく分からないのが不安だ。


 しかも慣れない暗闇と、不安定な感覚に、脳が対応しきれずにどんどん混乱していく。


 うおぉ~、なんか、乗り物酔いみたいな感じになってきた。これヤバイぞ~。


「ねぇ……。は、吐いても、いいかな?」


「え!? 結界の中で吐くつもりでおじゃるか!?」


「わぁ! やめてください天内さん!」


「……い、いい? いい? マジでスタンバイしていい?」


「小浮気よ、覚悟せい。小娘の真下はおぬしじゃから、直撃がいくぞ?」


「やめろ滅火の娘! こんなところで祖先の遺恨を晴らすとは卑怯だぞ!」


「ゴメン。う……うぇぇ……」


「皆様、ご覧ください。どうやら下の方に明かりが見えるようです」
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