神様修行はじめます! 其の五
「皆に言われるまでもない。僕自身、神の一族にとって最もふさわしい花嫁を選んだつもりだが?」


 門川君が淡々とカエルの大合唱に反論している。


「天内君はずっと、僕の身も心も温かく癒し、この胸にある理念と理想を燃えあがらせ、僕の命と信念を果敢に守り続けてきてくれたのだ」


 あたしは思わず、隣の門川君の横顔を見つめた。


「皆が勧める花嫁候補の誰が、僕にこれほどのものを与えてくれただろうか?」


 冷たさを感じさせるほど淡々とした彼の声の中に、何物にも動じない強い意志が伝わってきて……


 あたしの胸が、熱くトクンとざわめいた。


「そんな女性は、この世で天内里緒ただひとり。彼女こそが僕の永劫の片羽なのだ」


 ざわめく胸に、彼の唇から解き放たれる綺麗な言葉が降り積もっていく。


 あたしの両目に映る門川君の端正な横顔が、嬉し涙でぼわっと霞んだ。


 門川君……。
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