神様修行はじめます! 其の五
暗闇の星
「ああぁ! うわぁぁーーーーー!」
クレーターさんが結界の底で背中を丸めて、頭を抱えて泣き叫んでる。
過去の記憶のすべてを見終えたあたしたち全員、身じろぎもせずに、その悲痛な泣き声を黙って聞いているしかなかった。
戦闘経験もないクレーターさんが、なんであんなにも水園さんを助けに行きたがったのか、分かったから……。
水園さんの身にもしものことがあったら、水晶さんに顔向けができないからだ。
今度こそ本当に守りたかったんだ。自分の手で。
かつて、自分の手で死なせてしまった娘への罪滅ぼしに。
『父親の愛の前に、立ちはだかるものなどありはしないのだ』
虚勢を張って必死に叫んでいたクレーターさん。
どんな思いで、その言葉を口にしていたのかと思うと……。
「小浮気の罪の意識の深さが、周囲の水に反応したのであろうな」
絹糸が、ポツリとつぶやいた。
「自分の一族と娘を守るために、もうひとりの娘を犠牲にせざるをえなんだか」