神様修行はじめます! 其の五
「うわ!?」


 だいぶ周囲の明度が増してはいたけれど、それでも薄暗がりに慣れた目に、この眩しさはキツかった。


 反射的に両手で目を隠そうとして、自分の体がぜんぜん動かなかった現実を思い出す。


「ううぅ~~……!」


 呻き声をあげながら、とにかく思いっきり両目をギューッと閉じるしか方法がない。


 は、早く……! 早く異形をやっつけて、この術光を収めてよ!


 じゃなきゃ……


「あたしの目が潰れちゃうよ! 門川君!」


 そうだ。この圧倒的な純白の光。


 気後れしてしまうほどに穢れがなく、不安になるほど純粋で、飲み込まれそうなほどに圧倒的な『力』の存在を感じる、この白い光は……


 門川永久の言霊。


 間違いない! 門川君が、ここにいる!


「見えないけど、見つけたー! 門川君ー!」


 両目を瞑って、全身をダランと弛緩させて仰向けに寝転がりながら、あたしは全力で叫んだ。


 目を開けることはできないけど、あたしにはわかる! 門川君の存在を感じる!


 門川君、そこにいるね!? やっと……やっとこの気持ちを伝えることができるんだ!


 たとえいま、あたしの声があなたに届かなくったって、そんなの関係ない!


 だから、どうか言わせて!


「くわしい事情を、この場でキッチリ説明してもらいましょーかぁあ!?」


 おーよ! べらぼうめ!


 ここで会ったが百年目! はっきり白黒つけさせてもらおうじゃないのさ!


 どんな正当な理由があって、こんなマネをしくさりやがったのか、包み隠さず話してもらおうじゃないの!


 おかげであたしら、死にかけたんだからね!? なのに、くだらない事情であってみろぉ!?


「この水中が、あんたにとっての三途の川になるからなー!?」


 目蓋の裏側を真っ白に染めるほどの強烈な光を感じながら、あたしは勢いに任せてギャンギャン喚きたてた。
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