神様修行はじめます! 其の五
『天内君』


 いきなり聞こえた門川君の声に、ビックリしたあたしは跳ね起きた。


 耳に聞こえたというよりも、頭の中に直接、彼の心をスコーンとぶち込まれた感じだ。


『天内君……』


 もう一度聞こえたその声に、あたしは思わず顔を顰める。


 うぅぅ、響くぅ。これ、すっごい変な感覚。


 だって頭の中に、小さな門川君が居住してるみたいなんだもん。


 結界越しには会話ができないから、彼が術を使って、自分の感情を直接あたしの脳に届けてきているんだろう。


『天内君、なぜ、来てしまったのだ……?』


 また頭の中に響いた声に、あたしの心臓がドクンとざわめいた。


 なぜならその声は、あたしが望む、いつもの門川君じゃなかったから。


 冷たくて、素っ気なくて、でも氷の奥に隠れた小さなお花のような、あたしにだけ与えてくれる優しい声ではなかったから。


『天内君……できることなら君にだけは、このまま会わずにいたかった……』
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