神様修行はじめます! 其の五
恐る恐る頭上を見上げたあたしの口が、再びポカリと大きく開いた。
なぜなら、そこに見えたのは……暗黒オホーツク海、天井バージョン!
頭上一面を覆い尽くす巨大な黒霧が、完璧に、本当に完全に、凍りついてしまっていた。
以前に見たドキュメンタリー番組で、流氷を水中から撮影した映像を見たことがあるけれど、まさにあれの黒バージョンな視界。
黒色の氷の天井と、眩い白色の術光と、水の揺らめきが相まって、独特な明暗を生み出している。
神秘的なまでに素晴らしい光景だ。
それに、冬の朝に一歩外へ踏み出したような、清々しい冷気を全身に感じる。
二重結界に守られている状態でこれほど強い冷気を感じるなら、結界の外はどれほど低温になってるんだろう。
これは門川君の氷系の術。ほんの一瞬で、しかも異形だけを狙って凍らせるなんて……。
『水園殿……! 行かないでくれ!』
頭上の光景に思わず感動していたあたしの意識が、その声で現実に引き戻された。
門川君の胸の中からスルリと逃れた水園さんが、彼を置き去りにして泳ぎ出す。
あっという間に自分の元から離れゆく彼女に対して、彼は追いすがるように手を差し伸べていた。
その必死の表情を見たあたしの胸に、ズキン……!と締め付けられるような痛みが走る。
さらに門川君は、あたしの方へは目もくれずに叫んだ。
『僕がきっとあなたを守ると誓う! だから、どうか僕のそばにいてくれ!』
―― ガ―――――ン!
頭に、巨大な岩石が落下したような強烈な衝撃が走った。
彼の口から出た言葉が、あたしの全存在を打ち砕く。
頭が真っ白になってしまって、なにがなんだか、まったくわからない。
ただ、思うのは、門川君があたしじゃない女性に向かって、あんな言葉を捧げているという事実。
あたしじゃない人に。あたしじゃない人に……!
なぜなら、そこに見えたのは……暗黒オホーツク海、天井バージョン!
頭上一面を覆い尽くす巨大な黒霧が、完璧に、本当に完全に、凍りついてしまっていた。
以前に見たドキュメンタリー番組で、流氷を水中から撮影した映像を見たことがあるけれど、まさにあれの黒バージョンな視界。
黒色の氷の天井と、眩い白色の術光と、水の揺らめきが相まって、独特な明暗を生み出している。
神秘的なまでに素晴らしい光景だ。
それに、冬の朝に一歩外へ踏み出したような、清々しい冷気を全身に感じる。
二重結界に守られている状態でこれほど強い冷気を感じるなら、結界の外はどれほど低温になってるんだろう。
これは門川君の氷系の術。ほんの一瞬で、しかも異形だけを狙って凍らせるなんて……。
『水園殿……! 行かないでくれ!』
頭上の光景に思わず感動していたあたしの意識が、その声で現実に引き戻された。
門川君の胸の中からスルリと逃れた水園さんが、彼を置き去りにして泳ぎ出す。
あっという間に自分の元から離れゆく彼女に対して、彼は追いすがるように手を差し伸べていた。
その必死の表情を見たあたしの胸に、ズキン……!と締め付けられるような痛みが走る。
さらに門川君は、あたしの方へは目もくれずに叫んだ。
『僕がきっとあなたを守ると誓う! だから、どうか僕のそばにいてくれ!』
―― ガ―――――ン!
頭に、巨大な岩石が落下したような強烈な衝撃が走った。
彼の口から出た言葉が、あたしの全存在を打ち砕く。
頭が真っ白になってしまって、なにがなんだか、まったくわからない。
ただ、思うのは、門川君があたしじゃない女性に向かって、あんな言葉を捧げているという事実。
あたしじゃない人に。あたしじゃない人に……!